「ポークソテーからサイエンスを体感する」
使用したのは豚の肩ロース これは私の好みだから 筋や脂身が肉に入り組んだ部位で内臓にも近いため味わい深く複雑性の高い部位だと思います そんなお気に入りの豚肩ロースを使って香りの科学に迫ります
材料/機材/器具
豚肩2枚(計330g)
塩 4g(肉の重量の1.2%)
ニンニク 1個
フレッシュタイム 適当
フレッシュローズマリー 適当
ピュアオリーブオイル 適当
フライパン・トング・バット(お肉休ませよう)・IHコンロ一口
実践
豚肩ロースは今回150gオーバーのものを2枚 あらかじめラボの前に1.2%の塩をマリネしてきました フライパンは焼く素材が入る大きさなら何でも構いません
今回はお気に入りのドイツ製フィスラーで フライパンを中火~強火で加熱 豚肩ロースと半分に割ったニンニクを入れます ジュワワーっとテンションのあがる音がするくらいでいいです そこからは中火~弱火に落として焼き続けます 火加減に関しては音でしか判断できませんから訓練していきましょう ニンニクは焦げやすいですから入れてから最初は特に気にしてあげていてください
ここでpoint1
「油に香りをまとわせる」
フライパンに油をしいて焼くって工程はきっと皆さん知っているか聞いたことあると思います が
ここで大切なことは油は香の役割であることです 香りつまり嗅覚 ニンニクを一緒に焼くことでまずニンニクを加熱し香ばしい香りを作ります そしてそのニンニクの香ばしい香りを油に移します その香ばしいニンニクの油の香りを豚肉に纏わせていきながら「焼く」これが今回のpoint1です
ニンニクは綺麗なきつね色に仕上げていくのですが最初にフライパンの温度が高すぎたり 今回のように肉の重量が大きく焼き時間が長くなる時などは きつね色に焼きあがった時点で フライパンと油から取り出して 焼いているお肉の上に置いておいてください
今回実はフライパンを熱しすぎたのでニンニクはすぐに色づいてしまい早めの救出作戦を行いました が それで構いません
お肉にイイ焼き色が付いたらターンして裏面も焼きます そして いったん豚肉をバットに上げて休ませます(バットに上げなくて フライパンにのせたままでもいいです)お肉の余熱が熱伝導で中までゆっくりと加熱を続けます
ここでpoint2
「香りの時間と加熱」
ニンニクはポイントで紹介したように初めから加熱して焼いていきますが今回タイムとローズマリー焼きの工程では入れませんでした
タイムは休ませている間にい肉にのせて余熱程度で香りを引き出しつつお肉に移しました
そしてとくに香りの強いローズマリーはお皿に添えるだけにしてフレッシュのままの香りを提案(実は今回のワークショップでは お皿にローズマリーを添え忘れましたことは参加した人だけの秘密です)加熱による香りの変化や時間経過の変化がpointです
1.2%の塩をしているのでこれだけで美味しく頂けます お肉やお魚を焼くときにはしっかりそれだけで美味しいと感じる量の「塩分」をして調理するのが大切 ソースや薬味は香りなどのバリエーションです あくまで素材は素材で「塩分」で美味しさを完結して調理する これは いつかまた ワークショップでします「塩分と時間から料理の科学を体感するワークショップ」で詳しく紹介しようと思います
「パセリで発色のポイントと保存の科学を体感する」
今回はハーブ(パセリ)を使って色の科学を体感してもらいます パセリは比較的なじみ深くよく見るハーブですが 「添え物」「彩」としての価値でしか評価されていないのがかわいそうなので パセリのポテンシャルを引き出し 発色の科学に迫ります
材料/機材/器具
フレッシュパセリ 適当
ピュアオリーブオイル 適当
鍋/ザル/ボウル/ゴムベラ/ミキサー
実践
パセリは軸や茎の部分からはずして葉の部分だけにします 鍋にお湯を沸かしておきパセリを一気に入れます 茹でる時間は1~3秒ほど 一瞬です(この一連の流れをブランシールと言います)すぐにざるに上げて流水又は氷水で冷まします 葉っぱだけなのですぐに冷めます 冷めたパセリを手でぎゅっとしぼり水分を取ります
ここでpoint1
「発色」
パセリやホウレン草 スナップエンドウなど 青々(緑色)の野菜やハーブはその色を長くは保ちません 繊細で尊いいろが「緑」です とれたての野菜やハーブの鮮やかさにはどんな綺麗な女性もかなわないと思います(持論) この鮮やかな緑の正体はクロロフィル(わかりやすくクロロフィルを知りたいなら) 沸騰したお湯でサッとゆでることで(短時間高温に)鮮やかな緑はさらに発色を増します さらに長く鮮やかな色を保つために冷水に落とし温度を下げます これで綺麗な発色は長く保たれるというわけです 発色の変化と持続性のテクニックがpoint1です
水分を絞ったパセリとピュアオリーブオイル(エキストラオリーブオイルでもOK)をミキサーに入れ ペースト状になるまで回します(うまく混ざらないときはオイルが少ないので足してください)出来上がったパセリオイルは保存容器に入れ(ボウルやお皿でももちろんいいです)冷蔵庫で保存すれば1週間は鮮やかな発色を楽しめます
また保存容器(ビニール袋でもいいです)にいれて冷凍保存すればさらに長期保存が出来ます
冷凍庫に入れた場合その時点で多少発色は落ちますが使う分だけ解凍(冷蔵/常温どちらでも大丈夫ですが レンジなど加熱して解凍はしないでください)すればとても便利です
ここでpoint2
「発色の保存」
発色のポイントはpoint1の通り加熱と冷却です
そしてその鮮やかな色彩をキープするために「油脂(ピュアオリーブオイル)」に纏わせ酸化を防ぐことと超低温(冷蔵冷凍2℃~マイナス20℃)にすることで発色の劣化をゆっくりとさせ発色を持続させます 油脂(ピュアオリーブオイル)で酸化を防ぐことと低温で保存することで発色をキープすることがpoint2です
使い方としてはそのままお皿に盛りつけたお料理の「彩ソース」として少し使う感じですが特に塩分や強い香りがあるものではありませんのでどんなお料理にも相性はいいです
スパイスやハーブはその特性として「香り」に意識が向きがちですが「色」としての性質を最大限引き出しパセリの持つ強い香りは抑えることでよりパセリの魅力を感じていただけらたと思います
「オリジナルドレッシングを作ろう」
ここではドレッシングの構成解説とドライのハーブのメリットにフォーカスしオリジナルのドレッシングワークショップを行います ドレッシングの黄金比率とその構成について体験しながら香りの保存の科学に迫ります
材料/機材/器具
りんご酢 適量 1
ピュアオリーブオイル 適量 3
塩 1%
ドレッシングボトル
ドライハーブ
(タイム・オレガノ・バジル・クミン)
ブラウンシュガー
ドレッシングボトルにはあらかじめ りんご酢とピュアオリーブオイルを1:3の割合で準備し、全体量の約1%の塩を入れた状態で まずドレッシングとはどういったどうものなのか?という お話から始めました いろいろな種類のドレッシングがありますがここでは酢とオイルの割合について1:3を黄金比率としながらも1:2~1:4の割合幅をもち 好みによってバランスを調節できつといった内容と塩分を1~2%ほどで薄い:濃いは出来ているってお話を
そして本題のオリジナルドレッシングワークショップへ 塩味(塩)酸味(りんご酢)コク・旨味(オイル)の構成で すでに完成されたドレッシングに「ドライハーブ」で嗅覚「香り」を投入することでドレッシングのバリエーションを広げオリジナルのドレッシングとする内容
今回選んだドライハーブはドライタイム・ドライオレガノ・ドライバジル・クミンシードです プラス甘味も投入できるようにブラウンシュガーも用意しました (甘味を加えることで味は安定し旨みにも感じられるってお話も付け加えて)参加された方にはそれぞれの香りを確かめてもらいながら自由に入れていただき、その後ボトリング オリジナルのラベルとラッピンググッツも用意したので「まるで販売している商品のよう」な仕上がりに
このドレッシングはおみやげとしてお持ち帰りいただき 実際にご自宅で使いながら体感していただきます 酢と油のバランスや塩分濃度に香りの好みなど 一度ベースを知ることで その後また作るときの参考になると思います (また感想など聞けたら嬉しいなと思います)
「実際に五感で体感する」
ここでは今までの実演などで視覚と聴覚を使っての体感に加え実際に食べてみることで 五感をフルに使って今回の「香りの科学」を体感してもらいます 「食べるとは」味覚だけでなく視覚・嗅覚・聴覚・触覚も使って楽しむものでと考えます 今回は特に「嗅覚・香り」にフォーカスしました 温度変化による香りの特製 時間経過による香りの変化など これらを最後実際に食べることで 何か学びになってもらえたらとおもいます
Menu
鶏もも肉のコンフィ(低温調理)CafeBoneuSource
豚肩ロースのステーキ※mission1 柚子胡椒添え
ミックスサラダ ちりめんのせ ドレッシングがけ
クロロフィルソース※mission2
バケット
Desert&TEA
りんごと黒胡椒のジャムを使ったマフィン
ミントとレモングラスのフレッシュハーブティー
実食
mission1で実際に焼き色や音を体感しまた 熱伝導などを解説した「ポークステーキ」」塩分のバランスとニンニクの香ばしい香り ほのかに香るフレッシュタイム 食卓に置いているだけで感じることができるローズマリーの香り mission2でパセリで作ったクロロフィルソースはお皿に盛り込むことで鮮やかな発色をしっかり視覚で体感できたと思います 今回水呑CafeBoneuのスペシャリテであるチキンコンフィも ランチプレートにのせました コンフィの低温調理科学についても少し解説しました
低温調理に関しては別に機会にまたBONEU LABOを開きたいと思います
ミックスサラダには 1:3の黄金比率で作ったドレッシングをかけて提供 酸味のバランスや香りの体感になったと思います ランチプレートのあとのアフタータイムにはマフィンとフレッシュハーブティーを
ここでは胡椒を使ったジャムのお話と実際にフレッシュハーブティーの入れ方を解説して実食となりました
全てのmissionを終えた後は少し雑談もでき 途中では聞けなかった質問や蛇足でしたが 私のお話などにも花が咲きました
とても和やかな時間を過ごさせていただきました