何をやっても失敗ばかりで、、、というより、失敗するから何もさせてもらえない私を、クビにしないで雇ってくれたことに、とにかく今は感謝しかありません。が、当時の私は兎に角、情けなくて悔しくて、、、周りの先輩の仕事をただ見ている半年はそれまでのどんな経験よりも辛かった期間でした。
それでも、そんな先輩の仕事を見たり、シェフからの指導のためか
人よりかけた迷惑という名の時間のためか、少しづつは前進し、一つ一つ仕事を与えてくれるようになり始めたのは、働き始めてから半年は過ぎたころ。
途中、オーダーミスにより、本気で見捨てられそうになりつつも、オーダーを取り、料理を運ぶといったことを許され始めた。
仕事が楽しくなるといった心境には程遠かったけど、何もさせてもらえない地獄からは何とか抜け出せた。
不器用な自分に加えて、なぜこんなにも仕事が出来なかったのかと言えば、やはり「心の在り方」にあるのだけど、それに加えて、というか、それ故に、「学ぶ」姿勢がなかった私がいたのだと、今は思う。 半年間怒られ続け、(途中からは怒ることさえもしてもらえないほどに、、、)自分自身の「在り方」について初めて反省し向き合ってから少しづつ前に進んでいってのだと思うます。
こんなことばっかり書いていると、何も楽しみはなかったのかといえば、そうではなくて、大きく二つのモチベーションが楽しみというか自分を支えてくれた。
一つは
「高揚感」私にとって「一等賞のお店」で働けることは、間違いなくそれだけで誇りだったし、実際シェフだけでなく、そこにいる先輩スタッフみんなすごい人ばかりで、毎日超刺激的だった。毎日が何か大きな舞台の本番を迎えているようなそんな感じだった。何もさせてもらえないでただ、立たされている時でも、その舞台の内側にいるのだから、それだけでワクワクしてた。
もう一つは
「賄い」(笑)やっぱり、食べることはすごいことで、どんなにつらくても、怒られても賄いは食べさせてもらえたし、その時はみんな優しかった(そうでないときもあったけど・多々あったけど)そして、めちゃめちゃおいしかった!賄いは厨房の人が順番に作るシステムで、スーシェフの荻野さんが作ってくれる日も、もちろんあるし
まれに木下シェフが作ってくれる日もあったりして、賄いはほんとに幸せだった。