「丸坊主のサービススタッフ」それもフレンチレストランではまぁ、珍しくはないですが。意味もななく丸坊主にしたことは、たしかで、私の再起を図ったレストランキノシタのスタートはしょっぱなからやらかしたという訳です。
プロフィールおかわりに入ってついに「レストランキノシタ」編になったのですが。実は、この時期のことを書くことに対しては、少し躊躇があります。その理由は、あまりに私の人生に生々しくかかわったいる期間だからです。
人生には、転換期とか分岐点とか飛躍の時とかいろいろなタイミングがあると思いますが、私にとって、
この「レストランキノシタ」時代はあまりのインパクトで、
愛おしくもあり、苦(にが)く苦(くる)しくもあった二年間だったからです。
ただ、間違いなく言えるのは、
この時に学んだことや出逢った人が、
私にとって宝物で、
いまも心の中心にずしんといるのです。
さて、丸坊主で始まった修業
仕事はまず、開店準備のお掃除から。
当たり前ですがとにかくピカピカにする。
全部をピカピカにする。
まずはそれしかないってな感じで、開店準備を頑張ります。
当然、サービススタッフですから、
営業が始まれば接客サービスをするわけですが、
まだ、何もわからない私はフロアには出れず、
サービスのサポートからのスタートでした。
そんな中で
まず、新人が最初に担当する仕事が、アフターのドリンクを作ることです。
キノシタでは、食後のドリンクは
「紅茶」「エスプレッソ」「ハーブティー」の3種類でした。
作業自体はとても単純で、オーダーが入ったらお湯を注ぐか、エスプレッソを落とすだけ。
とても単純です
ですが、このときから、仕事が出来る人間かそうでないかが試されているのです。
そのポイントは「お湯」
お湯です
紅茶を入れるお湯はシェフが立つポジションにセットされています。
シェフがお肉を焼いたり、付け合わせを温めたりするための
鉄板があり、その隅に「やかん」があるのです。
紅茶を入れるときには100℃に沸騰したお湯を使うので
やかんを鉄板の隅から中心に寄せなければ沸騰しないので
いかに、シェフの邪魔にならないようにお湯を沸かすか?
ここが最初の修業です。
これが
めちゃめちゃ修業になるのです
今、思い出しても
この「お湯を沸かす」って<仕事>にこそ
学びが詰まっていたと思います。
シェフが今何をしているのか?機嫌は?
わたしは、毎日のように怒られたし
呆れられたりもしたし、
真剣に、「やめた方がいい」とも言われた
それは根性を試されてるなんてものではなく
心底からの「やめた方がいい」ってアドバイスだった。
人間としての基礎の部分を徹底的に指摘された。
悔しいとか
つらいとか
情けないとか
いろいろな感情があったけど
でも、木下シェフをはじめ、厨房の人たちも、サービスで厨房入りするのを待っている先輩も
圧倒的な存在で
兎に角、しがみつくしかない
そんな思いの毎日だったと思う
そして、自分がいかに不器用で、言い訳ばかりで生きてきたことを思い知らせれていた。
そう、わたしはいつも言い訳ばかりで謝ることが出来ない人間なのです。